PoW型コイン

PoWとはProof of Workの略で、承認アルゴリズムのうち、計算力をより多く提供した人に承認(マイニング)の権利が与えられるタイプのシステムです。

PoW型コインの特徴

PoW型コインは、P2Pネットワーク上で取引の検証を行うための承認方式(コンセンサス・アルゴリズム)として、マイニングという方式を採用しています。これは、仮想通貨史初期の仮想通貨であるビットコインのホワイトペーパーから誕生した言葉で、イーサリアムやライトコインなど著名な仮想通貨に採用されています。

一般的な貨幣である現金でAさん→Bさんといった取引を行う場合は、信用できる中立機関として銀行が間に入るのに対して、PoW型コインでは、マイニング方式を採用することにより信用できる中立機関がいなくてもAさんとBさんの間で取引ができることを可能にしました。このことをトラストレス(信用を必要としない)と言います。

中央集権型コインとの違い

PoW型のコインと中央集権型のコインの大枠について比較要素を抽出しました。発行体や承認方式の違い、送金速度などで比較してその違いを見ていきましょう。
※ここで扱う”中央集権型コイン”は法定通貨のことではありません。

PoW型コイン 中央集権型コイン
発行元 コインの開発団体(ビットコインの場合は無し) 国、政府、企業など
承認方法 マイニング 発行元が指定した機関及び承認者
送金手数料
送金を承認する承認者に送金手数料を支払う

会社や団体が承認する承認団体が承認を行うため手数料が一律で安い
送金速度
1時間程度で着金可能(時期による)

5分以内など瞬時な着金が可能
使用可能店舗
使用できる店舗はまだまだ限られている

使用できる店舗はほぼ無い
透明性
誰が誰に送金したかという記録が全て残る

現金と同じで発行元がいるため、発行元の判断で内容を改変できる可能性がある

マイニングを使用したセキュリティ要素とインセンティブ

PoWの”W”は”働き=work”を意味しており、マイニングとは、この”W”を意味しています。

マイニングとは、決められた計算式の解答を導き出す競争で、一番最初に答えを出すことができたマイナーは報酬として仮想通貨が貰えます。
つまり、マイナーがマイニングを行う動機は、「インセンティブとして仮想通貨が貰えるから」ということになります。

この報酬は、マイニングを行なっている競争率によって計算式の難易度(Difficulty)が変わってきます。
これによって、不正にブロックチェーンを改竄(かいざん)することが難しくなってくるため、セキュリティー面で非常に強くなります。

PoW型コインのメリット

データの改竄を行うのが難しい

特徴でも説明しましたが、PoW型のコインは取引の改竄を行うのが難しいという点が挙げられます。

これは、取引の改竄を行おうと思った場合に膨大な計算量が必要なので、不正を行うぐらいなら普通にマイニングに参加して報酬を貰った方が得になるためです。

従来のP2Pシステムでは、中央管理者が存在しないため、不正が発生した際に不正元を発見しにくかったり、予期せぬ通信トラブルが発生したりする可能性がありました。
代表的な例で言うと、WinnyやLimeWireなどファイル共有システムで、音楽や漫画のデータを共有し、誰でもダウンロードできるサービスが一時人気になりましたが、ウイルスに感染したり、多量なデータ通信量が発生したり様々な問題がありました。

PoW型のコインもP2Pで世界中のパソコンに接続していることに代わりはないですが、複数の取引を1つのブロックごとにまとめて承認作業を行うことで、計算方式を難しくしています。
そのため、不正を行おうとするとCPUの計算方式を高め、高額な計算費用を支払う必要が出てくるため、同じCPUを使うなら、真面目にマイニングをした方が利益が出る構造にすることでセキュリティーを高くしているのです。

誰でも承認作業(コンセンサス・アルゴリズム)に参加可能

PoW型の承認作業であるマイニングに参加するには、マイニングを行うためのCPUとCPUを動かす電気代さえ払えば誰でもマイニングに参加することができます。

一般的な貨幣である現金の送金作業を承認するのは現状では銀行のみですが、PoW型コインであれば、承認作業を行うために信用や信頼といった概念が必要ないため、誰でも参加できることになります。

極端な話でいうと、自分のPCやモバイル端末でもマイニングが可能です。

承認方式の中で一番長い歴史とブランド力がある

PoW型の承認方式は2009年にビットコインが誕生して以来、今まで一番長く続いている承認方式になります。それゆえに、非中央集権的な考えをもつ所謂ビットコイン原理主義者の間ではPoW型の承認方式こそが正しいと信じている人もいます。

PoW型コインのデメリット

電気代が高額になる

PoW型のコインのデメリットとして、電気代が高額になる問題が有ります。これは、セキュリティーの面で説明した採掘難易度(Difficulty)が関係してくるのですが、採掘難易度が上がると、それに計算式が複雑になってきます。

この計算式は、ハッシュ関数という特殊な計算が使われています。これは、計算を解くための公式が存在していない一次関数的な問題になっており、一つ一つの計算を当てはめる以外に方法がない為、その割り当てを求める為に膨大な当てはめ作業が必要になってきます。

例えば、12345×12345 という計算式の答えである152,399,025を導き出すのは一瞬ですが、152,399,025は何と何で計算した結果この答えになるかという問題では、一つ一つ計算を当てはめていくしか方法がないといった感じです。

この数字を当てはめていく作業の速さのことを「ハッシュレート(採掘速度)」と言いますが、採掘難易度が上がるにつれて、CPUの高いものが必要になってきて、さらにそのCPUを動かすための電気代が高額になってきます。

ビットコインを例に出すと、一時その電気代は、小さな国の電気代全てと同じぐらい使用されていた程です。

莫大な電気を消費するわけですから、PoW型コインのマイニングを行なっている国や団体は、少しでも電気代の安く、寒い国に行って、必要なコストを削減しようとしています。
そのため、
電気代の安い中国の農村部
政府から電気代の助成金が出る&自国通貨のインフレが深刻なベネズエラ
地熱発電が盛ん&気温が低いアイスランド
などで多くのマイニングが行われています。

51%アタックの標的になる可能性がある

PoW型コインのメリットとして、セキュリティーに強いと説明しましたが、仮にマイニングのための計算力の51%以上を占めることができると不正に取引を操作できてしまうという問題です。

51%アタックが行われると、同じ取引を何度も行うことができる2重支払いの承認や、新たなトランザクションの承認をブロック、更にマイニングで得られる全ての報酬を自分達のものに出来てしまいます。

ビットコインを例に出すと、2018年10月22日のハッシュレートの%表ですが、1位はBTC.com : 15.7% 2位がAntPool : 14.4% 3位がViaBTC : 13.5% 4位がUnknown : 13.3% となっています。4位の所在は不明ですが、1位〜3位は中国のマイニングプールで、仮にこの4つが結託し不正を行おうとした場合に不正が行えてしまいます。

更に今後、一社で51%のハッシュレートを独占できる会社が出てきた場合はかなり危ない状況になっており、一部から懸念の声が上がっています。

ただ、悪意を持ってこのような不正を行うと、仮想通貨の価値自体が低下し生態系を壊しかねないので、利益目的で行うことは無いのではと推測されます。

セルフィッシュマイニングのリスク

セルフィッシュマイニングとは、別名リオルグ(re organization)とも呼ばれているもので、ブロックチェーンを再編成する手口のことを言います。

2018年5月13日〜15日の間に、日本でも知名度の高いモナコインがセルフィッシュマイニングの被害にあってしまい、1000万円ほどの被害が出てしまいました。

これは、モナコインの採掘難易度が下がってきたタイミングで、不正を行う目的で大きなCPUを活用し、ブロックを書き換えてしまったケースです。上にある図を見て頂ければ分かりやすいかと思いますが、パブリックチェーン上にブロックを積み上げている最中に、それよりも長い不正なチェーンを用意し、それを公開すると不正に積み上げたチェーンが正式なチェーンとしてパブリックチェーンに残ります。これはモナコインが”最も長いチェーンを有効なチェーンとして認める”というプロトコルを採用しているからです。

モナコインの場合は、実行犯が取引所でモナコインを決済し、決済が確定したブロックまで到達したタイミングで、自分達が積み上げたブロックを公開しました。こうすることで、実行犯は決済が完了した上で、自分達のモナコインも使用していない状態に巻き戻したという仕組みになりました。

将来的にマイニングを行なってくれる人が減っていく恐れ

PoW型のコインの場合、マイニングを行なってくれた人への見返りとして仮想通貨を受け取ることができます。しかし、報酬をもらえる仮想通貨の量は年々減っていき、最終的には報酬が受け取れなくなります。そうなってくると、マイニング参加者は自然と減っていき、今後送金の際に承認してくれる人がいなくなるという大きな問題が有ります。

ビットコインを例に出すと、ビットコインの総発行枚数は2100万枚で有り、2140頃には全て掘り起こされる計算になっています。また、4年に一度、マイニングの報酬も半額になるように設定されており、今が1ブロック辺り12.5BTCなのに対して、2020には、6.25BTCまで減額される予定です。

ただし、マイニングによる報酬は新規発行された分だけではありません。

マイニングというと新規発行コインの「採掘」にばかり焦点を当てられがちですが、マイニングとは本来、取引の承認作業のことを指します。ゆえに、「承認アルゴリズム」という呼び名がついています。

送金手数料も報酬に含まれるので、例えばビットコインが2100万枚発行されたあとでも報酬額は0BTCにはならず、一定額ではなくなりますがマイニングをすれば送金手数料が報酬として貰える仕組みです。

PoW型コインの選び方

PoW型のコインを選ぶ基準としては、その仮想通貨のマイナーがどの程度いるのか、その仮想通貨がどの程度流通しているのかを基準に判断する必要があります。
デメリットで説明した通り、セルフィッシュマイニングが出来てしまう恐れのある時価総額の仮想通貨では、場合によって正常なブロックチェーンが書き換えられてしまう恐れがあるからです。

そのため、どの程度コミュニティーが形成されているか、支持者がいるか、知名度があるかなどを総合してコインを選ぶのが良いでしょう。

PoW型コインの Q&A

Q2PoW型コインのマイニングに参加するには?

A2仮想通貨のマイニングに参加する方法は大きく分けて3つ有ります。1つが、「ソロマイニング」、2つ目が「プールマイニング」です。この2つは自分のCPUと仮想通貨を保管するためのウォレット、そしてマイニングソフトを準備する必要が有ります。3つ目は「クラウドマイニング」で、こちらは資金を投資しマイニングする権利を購入する形になるので何も準備しなくて大丈夫です。それぞれの特徴について説明します。

ソロマイニング

個人でマイニングを行うため、得られる報酬は全て自分のものにすることができます。その一方マイニング報酬を得るための設備を自分で用意する必要があるため高額なCPUと運用施設、電気料金が必要になり、ビットコインなど知名度が高い通貨をマイニングするには適していない方法です。

プールマイニング

複数人のCPUを同時に使用し、得られた報酬を提供したCPUに応じて分配する方式になります。個人でマイニングするよりも高い確率で報酬を得られる可能性が高く、ほとんどの人がプールマイニングにCPUを預ける形で参加しています。

クラウドマイニング

マイニングを行うための施設を借り、多くのCPUを設置し、電気代を払っている会社が有ります、その人達がもつハッシュレートを固定の金額で購入する形で参加する方法がクラウドマイニングです。ただ、クラウドマイニングの会社自体を信頼しての投資になるため、どのようなマイニング会社が運営しているのか、実績や利回りを確認した上で投資を行ないましょう。

3→2→1の順番で簡単にマイニングに参加できるようになっていますが、自分でマイニングマシンを持っている、これから購入して試してみたいという方はプールマイニングを、準備せずに投資だけ行い人はクラウドマイニングを試してみると良いでしょう。

Q3自宅にあるパソコンでもマイニングに参加できる?

A3はい、自宅にあるパソコンのCPUを使ってマイニングに参加することは可能です。
ただし、マイニングするコインによりますが報酬が非常に少なくなってしまい、下手をすると電気料金の方が高い結果になってしまう恐れが高いでしょう。
マイニングを行う方法を試してみるという目的でパソコンからマイニングを行なってみるのは良いですが、本格的に参入しマイニングで利益をあげようと試みるのであれば、ASICなど専門のマイニングマシンかCPUの高いマザーボードの使用が必要です。